おうちに赤ちゃんがやってきて、お兄ちゃん・お姉ちゃんになった気持ちは複雑です。赤ちゃんはかわいい。弟・妹ができてうれしい。ぼく・わたしはもう赤ちゃんじゃないから!お兄ちゃん・お姉ちゃんだから!でもね、みんなが赤ちゃんばっかりにかまってる。
幼い心に芽生えた兄姉の自尊心と、まだ甘えたい寂しさに葛藤する、そんな気持ちをつづった絵本をセレクトしました。大人はわかっているけれど、子どもにも伝わるように、改めて、ぎゅっと抱きしめたくなる絵本ばかりです。
『ぼくも だっこ』
西條剛央/作 大島 妙子/絵 講談社
まもるくんはだっこが大好き。でも、おかあさんは赤ちゃんのお世話に忙しくて、なかなかだっこしてもらえません。
外に飛び出したまもるくん。すると、いろいろな動物の赤ちゃんがやってきて、「だっこして」というのです。だっこしてほしいのは自分なのに。でも、まもるくんは、次から次へ、みんなをだっこしてあげます。自分のしてほしいことを、してあげるまもるくん。まもるくんの気持ちは、少しずつ変わっていきます。読み終わったあと、子どもも大人も、だっこしたくなる絵本。2歳から。
『あげます。』
浜田桂子/作 ポプラ社
ぼくの家に「へんなの」がやってきた。それ以来、ぼくの待遇は激変。おじいちゃんもおばあちゃんも、パパもママも、ぼくに振り向いてくれない。みんな「へんなの」に注目している。「へんなの」なんて、どこかにあげちゃおう!ぼくの大作戦がはじまります。
あの手この手でがんばるけれど、「あげます」作戦はうまくいかない。ついには、「へんなの」に曲芸を教え込むことに。その結果は?
「へんなの」が「妹」に、ぼくがおにいちゃんになっていくまでのおはなし。4歳から。
『ぼくがおっぱいをきらいなわけ』
磯みゆき/作 ポプラ社
ぼくがおっぱいをきらいなわけ、「あかんぼうのすることだ」「おっぱいはきけんだ」。「だからぼくは、おっぱいがきらいなんだ」
ぼくはおにいちゃんになって、おかあさんを独り占めできなくなった。
おっぱいは赤ちゃんのもの。だから「おっぱいなんてきらいだ」
強がるおにいちゃんの気持ちが、切なく、いじらしい。2歳から。
『そうちゃんはおこってるんだもん』
筒井頼子/作 渡辺洋二/絵 福音館書店
そうちゃんは怒っています。だってね、ぼくだっておとうさんと遊びたいのに、いもうとばっかり。ぼくだってパパのお馬に乗りたかったのに!
「もういいもん」そうちゃんは、テーブルの下にもぐりこんでしまいます。呼んでもでてきません。そうちゃんは怒ってるんだもん。
くやしくて、さびしくて、意地をはって。そうちゃんの葛藤が言葉と絵で表現されています。3歳から
『そしてふたりでにっこりしたの』
ハーウィン・オラム/作 メアリー・リース/絵 まつかわ まゆみ/訳 評論社
「ママがしばらくいないと思ったら あかんぼをつれてかえってきた」
おとうと。そして、あたしは風邪をひいた。
「ごほん!」と咳が出る。それは心の咳。咳のあたしが、つぎつぎと意地悪をささやく。
あたしじゃないの。咳がいうの。
咳が、おねえちゃんになった複雑な気持ちを代弁します。4歳から
『ちょっとだけ』
瀧村 有子/作 鈴木永子/絵 福音館書店
おとうとが生まれて、なっちゃんはおねえさんになりました。ママは赤ちゃんのお世話で忙しい。だから、なっちゃんは、いろんなことを、ひとりでやってみるのです。いままでママがしてくれるのを見ていたから、「ちょっとだけ」できました。おねえさんになったから、がんばるのです。いろんなことを「ちょっとだけ」。おねえちゃんになった強い自覚で、自分の気持ちを抑える、健気ななっちゃん。やさしいママ。最後のページが涙で読めないママ続出のラストです。3歳から
『はじめてのおつかい』
筒井頼子/作 林明子/絵 福音館書店
ある日ママがいいました。「あかちゃんの ぎゅうにゅうが ほしいんだけど、まま ちょっといそがしいの。ひとりでかってこられる?」100円玉をにぎりしめて、みいちゃんは初めてのおつかいに出かけます。自転車にベルを鳴らされ、転んでお金を落として。いつもの道が、いつもと違うみたい。お店についても、なかなか気づいてもらえません。
読み聞かせの現場では、子どもたちは、みいちゃんになりきって緊張して聞き入っています。ママと赤ちゃんのために、おねえちゃん、がんばったね。3歳から
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