学校や幼稚園・保育園、児童館、図書館など、みんなの前での読み聞かせは、おうちで読むのとは違って、ちょっと緊張しますね。読み聞かせボランティアを始めたけれど、何をどう読んだらいいのかも分からない…と、とまどうこともあるでしょう。
ここでは、はじめての読み聞かせの前に知っておきたい、絵本の持ち方、ページのめくり方を解説します。
読み聞かせ・絵本の持ち方
状態を確認する
始める前に、本番中に滞りなく読めるよう、絵本の状態を確認しましょう。
古い絵本は、落書きがないか、見苦しい補修跡がないか、確かめます。
新しい絵本は、カバーをはずし、開きグセをつけます。
開きグセをつけるには、机など平らな場所でページを開き、ノド(綴じられている部分)を押さえます。これは、読むときに、ページが平らにきちんと開くための、些細にみえて大切な準備です。これにより、ページがノドの上から下までしっかりと均一に開き、湾曲したり、戻ったりしにくくなります。また、持ちやすくもなります。
持ち方
子どもたちが椅子に座る場合には立って、床に座る場合には椅子に座ります。
装丁が右開き(表紙の左が背)・文字が横書きの場合は右手で、左開き(表紙の右が背)・文字が縦書きの場合は左手で持ちます。これは、ページをめくる方向に関係します。
親指とその付け根全体で、絵本の背側を支えます。のこりの指で開いたページのノドを押さえます。このとき、指が絵を隠しすぎないよう気をつけましょう。
脇を締め、絵本が体と重ならないよう、肘から先は横に広げます。絵本が前後左右に傾かないよう手首で調整します。紙質によっては光を反射することがあるので、会場の照明も考慮しましょう。
このとき、しっかりと絵本を持てていれば、手首の動きは自由で、絵本の内容によって、絵本に小さな動きをつけたいときにも対応できます。
絵本を持つ高さは、肘が直角または緩い鈍角で安定します。大きく重い絵本の場合は、机や膝で補助する場合もあります。絵本自体は、肩よりも下になる位置がいいでしょう。これは、絵本のすぐ横に読み手の顔があると絵本への集中がそがれること、読み手にとっては目線が上になると文字が読みづらいためです。
読み聞かせ・ページのめくり方
表紙からタイトルページ
まず、表紙を見せ、タイトルを読みます。それから、表紙に目線をやり、聞き手の目線をうながします。
会場全体を見渡して注目を確認してから、ゆっくりと表紙をひらきます。
見返し、扉、タイトルページと、順番にもらさずめくります。見返しが無地でも、省略せずにきちんとめくりましょう。
表紙から本文までのこの数ページは、おはなしが始まる前の、静かな導入部分です。無言でも、「さあ、いよいよ始まるよ」ということが伝わるように、ゆっくりとめくりましょう。
タイトルページで止まり、もう一度タイトルを読みます。
タイトルページをめくり、いよいよ本文です。
本文
絵本の内容は、絵と文のバランスが様々あります。文が少ない場合は、読み終わってもすぐにページをめくらず、じっくりと「絵を読む」気持ちで、しばらくページめくりを待ちましょう。逆に、おはなしの展開によっては、パッとめくったほうが効果的な場合もあります。内容にあわせて、めくり方も工夫してみてください。
ページのなかで、注目を促したい部分があったら、そっと指し示します。
ページは、手前から向こう側へ、ゆっくりとていねいに、送るようにめくります。
絵本を持っていない側の手で、ページの角から1ページをとり、少し浮かせて空間をつくります。ページを送りながら、ノドに添えた指で受け止め、補助します。
めくる手は、ノドのあたりかそれより前で指を離します。めくる手が、腕で絵本をさえぎらないよう気をつけましょう。
ここで、はじめにきちんと開きグセがついていれば、無理なく送ることができるでしょう。そうでない場合は、ページ上部までめくる力が届かず、次のページが浮いてしまいます。
奥付から裏表紙
始まりと同じく、本文を読み終えたあと、奥付から裏表紙まで、ゆっくりとめくりましょう。余韻の時間です。
最後に裏表紙を見せて、ひと呼吸おきます。
もう一度、表紙を見せて終了します。
このとき、表紙と裏表紙がつながった絵のときには、広げて見せましょう。
絵本の読み聞かせには、「読み聞かせる」だけでなく、絵を「見せる」要素があります。
ページをめくることは、おはなしの流れを追うだけでなく、見せ方をコントロールすることでもあります。
基本を押さえつつ、絵本の個性にあわせたページめくりができれば、絵と文でできた絵本が、いっそう魅力的に、いきいきと動き出すでしょう。
子どもたちが、ひとりで読むのとは別の、もうひとつの絵本の楽しさを満喫できますように。
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