「おはなし会」は、家庭での読み聞かせとは違い、開催の時間や場所が決められていて、そこに集まった複数の子どもたちに一緒に聞いてもらいます。
そのため、おはなし会には、いくつかの注意点があり、みんなに楽しんでもらうための工夫が必要です。
ここでは、おはなし会をするにあたって、その準備から開催までのおおまかな流れを、具体例をあげて紹介します。
おはなし会プログラム概略
会場づくり
図書館や児童館など、おはなし会の会場は、あらかじめ用意されていることでしょう。
用意された場所で、よりよいおはなし会ができるよう、おさえておきたいいくつかのポイントがあります。
●「おはなし会エリア」を明確に。とくに、周囲におはなし会に参加しない人たちがいる環境の場合、区分けが必要です。
●気が散るものを片づけ、動かせないものは、布をかけて隠すなどの工夫を。
●子どもたちの座り方は、椅子よりも床で。扇型に座るとよく見えます。この座り方は、例えば親子やきょうだい、仲良しのお友だちとくっついて見たいの!というときにも柔軟に対応できます。
●照明や日差しの確認。窓からの日差しが読み手や子どもたちの顔にかからないように遮光しましょう。また、絵本の紙質によっては、室内の照明でも反射してしまうことがあります。読み手の位置も確認しましょう。
大切なのは、落ち着いた雰囲気で、子どもたちが絵本に集中できる環境をつくること。
安全確認とあわせて、会場づくりをしましょう。
おむかえ
お約束の時間前、子どもたちは楽しみに集まってきます。
「きょうはどんなおななしかなあ?楽しみだね!」
「時計の長い針がてっぺんまでいったら、はじまるよ。もうちょっとまってね」
などと声をかけて、待っている気持ちを子どもたちと共有します。
また、図書館などで、興味はあるけど、ちょっとこわいな・はずかしいな?と遠巻きにしている子どもがいたら、「これからおはなし会があるの。どうぞ」と声をかけましょう。保護者の方には、予定をお伝えしてお誘いします。もちろん、無理強いでなく!
はじまり
時間になったら、いよいよおはなし会の始まりです。
なかには、ギリギリセーフ!とあわただしく駆け込む子どももいます。状況を見て、子どもたちが揃ってから始めます。
ごあいさつ
まずはご挨拶。
たとえば、わたしの挨拶は…
「みなさんこんにちは!!(元気よく)
きょうはおはなし会に、ようこそお越しくださいました」(目線は子どもたちに向けつつも、さりげなく保護者の方にも挨拶)
「来てくれてありがとう!」(笑顔)(子どもの言葉でいい直す)
このあと、ちょっとした季節の話題(外は寒かったー?雨ふってませんでしたかー?など)で、ごく短い会話をして、仲良し気分をつくります。
(会話で盛り上がりすぎない程度に「はい」「いいえ」の答えですむ程度の問いかけにします。個人的な話題は避けます)
「これから、おはなし会をはじめますね。
その前にお約束です(ちょっと真面目に、簡単な注意事項を述べる)
………お願いします(命令ではなく、お願い)
お約束、守れるひとー」(元気よく)
ノリがよければ、「はーい」とお返事がもらえます。
「ありがとう! でははじめます」
このように、読み聞かせは、「読んでやる」「ちゃんと聞け」といった大人から子どもへの圧力ではなく、「一緒に絵本を楽しみましょう。聞いてね」という気持ちで臨んでいます。
おはなしを始める前に、歌や手遊びではじまりの儀式をすることもあります。はじまりの儀式は、日常とおはなし会の区切れ目のしるし。子どもたちの気持ちもおはなし会モードになります。
おはなし
子どもたちの集中は、長く続きません。おはなし会全体は、30分くらいで企画することが多いようです。その中で、実際におはなしをするのは3、4つ程度。対象年齢にもよりますが、3歳から6歳までの子どもたちには1冊5分程度の絵本を読みます。
わたしは、絵本だけでなく、紙芝居も組み込んで企画するようにしています。
また、絵本に関連するわらべ歌を組み込むこともあります。
絵本を読み始めるまえには、会場の様子を見て、これから読む絵本の前ふりをすることもあります。例えば、表紙に動物が描いてあったら、「これは何かしら?知ってる?」と問いかけ、答えを聞いて、それを肯定してから読み始めたり、食べ物のおはなしなら、「きょうは〇〇〇のおはなし みんなは食べたことありますか?」と問いかけたり。
交代で読み聞かせをする場合、ひとつのおはななしが終わって、次のお話にうつるときは、「つぎのおはなしは何かな?」と会場に向かって声をかけ、次の読み手に引き継ぎます。
おわり
はじまりの儀式をした場合は、おわりの儀式して区切りにします。
ご挨拶をして、「またきてね」とお別れします。
おはなし会は、自分で絵本が読める子どもにとっても、楽しいもののようです。
家族に読んでもらうのとも違った気分。自分のほかにも子どもたちがいる。みんなで一緒に聞くおはなし。特別の空間。「また来たい」と思ってもらえたら、うれしいですね。
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