『こんぴら狗』夏休みの読書感想文を書くために。
あらすじと読み方のポイントをご紹介します。
こんぴら狗 読書感想文の書き方
『こんぴら狗』は、犬を主人公にした江戸時代のお話です。
主人公のムツキは、病気になった飼い主のために、金毘羅参りの旅にでます。
旅の途中、ムツキは多くの人と出会い、別れ、少しずつ成長していきます。
読書感想文では、読んだ中からテーマを絞り込み、自分の考えを深めていきましょう。
『こんぴら狗』
今井 恭子/作 いぬんこ/画 くもん出版
2018年青少年読書感想文コンクール高学年課題図書。
こんぴら狗 あらすじ
江戸瀬戸物町の線香問屋「郁香堂」の娘、弥生は、ある日一匹の子犬を拾う。子犬はムツキと名付けられ、郁香堂の飼い犬になった。
それから3年。郁香堂の跡継である長男が病で帰らぬ人となり、その翌年には弥生も病に臥してしまう。
そこでムツキは、弥生の快癒を祈願する「こんぴら狗」として金毘羅参りに向かうこととなった。
京都までは 郁香堂の客である美陶園のご隠居が同行する。
しかし、ご隠居は肺を病み、京都を前にした難所、鈴鹿の峠で客死する。
ご隠居を失ったムツキも次第に弱り、動けなくなってしまうが、寺男や托鉢の僧、行商人、農民らに助けられながら、回復する。
大阪からの旅では、水主や芸者に可愛がられ、芸者には四国に上陸後も金毘羅まで案内してもらう。
ようやくたどり着いた金毘羅では、芸者も一緒に弥生の快癒を祈ってくれた。
金毘羅で芸者と別れることになったムツキは、江戸に帰る夫婦に預けられるが人込みではぐれてしまい、孤独な帰路につく。
途中、俊足の若者と知り合い、しばらく同行するも雷に驚きはぐれてしまう。
あてどなく歩いた先にたどりついた村の善意でこんぴら狗をリレーする「村送り」をされることになる。
しかしムツキにとって村送りは、人と親しむことができず、辛い日々となる。村送りの駕籠から脱走したムツキ。
そして、江戸の油問屋の女将、澄江とその息子で目の不自由な宗朗、伴の善七の一行と出会う。宗朗はムツキを「茶々丸」と呼び、可愛がる。
小田原近くの山道で、一行は賊に襲われるが、ムツキの活躍で退ける。
品川宿を過ぎて、ムツキは一行と別れ、弥生のもとへと向かう。
弥生の病は完治し、ムツキと再会。
ムツキは金毘羅参りを果たしたこんぴら狗として、町の人々にも大切にされる。
澄江と宗朗は、ムツキの無事を確かめに郁香堂を訪ね、弥生とムツキの幸せそうな様子に、「茶々丸」を譲り受けたい気持ちを封じる。
後年。ムツキが産んだ子犬が「茶々丸」として宗朗の飼い犬となる。
波瀾万丈の3か月の旅をムツキは覚えていない。犬はいつも、いまを生きている。
けれどもムツキは、眠りながら前足をかき、後ろ足を蹴り、走っているしぐさをする。
夢の中で、ムツキは覚えている。波瀾万丈の3か月の旅路を。
こんぴら狗 読書感想文のための読み方のポイント
江戸時代の暮らしを想像する
こんぴら狗として江戸を出発したムツキは、金毘羅を目指します。
江戸は、いまの東京。金毘羅は四国の讃岐、いまの香川県にあります。
いま、わたしたちが東京から金毘羅に行くなら、どんな方法があるでしょう。時間はどれくらいかかるかな?
江戸時代のムツキは、東海道を徒歩で大阪へ。途中には、大きな川や峠があります。そして船で海を渡りました。歩みは天候にも左右されます。
『こんぴら狗』の各章タイトルには、日付がありますね。
第三章 旅立ち 文政七年(一八二四年)四月八日
第四章 東海道へ 四月九日
第五章 別れ 四月二四日
第六章 薬売り 四月二九日
第七章 船の旅 五月十三日
第八章 金毘羅 五月十九日
第九章 もどりの旅 五月二十日
第十章 村送り 六月四日
第十一章 最後の道連れ 六月十七日
第十二章 江戸へ 七月六日
ムツキが江戸から金毘羅参りをして戻るまでには、約3か月かかりました。
いまの時代の旅と比べると、ムツキの旅がどんなに大変だったか、想像しやすくなるでしょう。
交通のほかにも、江戸時代の暮らしでいまとは違うところに気がついたら、その感想を書くのもいいですね。
人との関わりを考える
ムツキは子犬のころ弥生に拾われて育てられます。
弥生の病気が治るように、こんぴら狗として江戸を出発したときには、ご隠居が一緒でした。
旅の途中、ムツキにはたくさんの人々との出会い、別れがありましたね。
その時々で、ムツキはどんな気持ちだったでしょう。
また、人々のなかには、ムツキとの出会いをきっかけに考え方や生き方が変わった人もいます。
印象深かったのは、どこで会ったどの人との関わりか、その感想を書くのもよいでしょう。
そのとき、悲しかった?うれしかった?それはなぜ?そんな気持ちを書くと、感想文らしくなるでしょう。
ムツキの成長を考える
子犬のころに拾われて、可愛がられて育ったムツキ。
ムツキは綱につながれて、いやいや江戸を出発しました。やがて、綱がなくてもご隠居に随行できるようになります。
たくさんの人々との出会いと別れを経て、復路で出会った澄江、宗朗、善七の一行との出会いで、ムツキは再び綱につながれます。ムツキにとってその綱は、江戸を出発したときの綱とどんな違いがあったでしょうか?
また、ようやく江戸の弥生のもとに帰りついて後。宗朗と再会して、弥生のたすきの綱につながれたムツキは、3か月前とどのように変わっていたでしょうか。
何がムツキを変えたのか、 宗朗に寄せるムツキの気持ちも想像しながら書くとよいでしょう。
まとめ
『こんぴら狗』は、ページ数も多く、読書になれていないと読むのに躊躇するかもしれません。けれども、文章は易しくつづられていますし、難しい言葉には注釈もついているので、お話しに没頭できればサクサク読めるでしょう。
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